ビクトル・ユゴー原作の劇 Ruy Blas の映画版の中の 闘牛場の場面を取り上げてみました。ほんの一瞬の場面ですし、雄牛は全く出て来ませんし、そもそもとても闘牛場には見えませんが、映画自体はとても楽しく立派な作品だと思います。
撮影はスペインではなくイタリアで行なわれたようです。
ダニエル・ダリューとジャン・マレーが主演の映画
で、ビクトル・ユゴーの戯曲の映画化です。脚本と台詞はジャン・コクトーが書き、ピエー
ル・ビヨンが監督し、ミシェル・ケルベが撮影を指揮し、のジョルジュ・ベケビッチが装置、エスコフィエが衣裳を担当
しました。音楽はジョルジュ・オーリックが作曲しています。ダリュウとマレエを助けて、マルセル・エラン、ガブリエ
ル・ドルジア、アレグザンドル・リニョオ、ジョヴァンニ・グラッソ、ポール・アミオ、ジル・ケアン等が出演しています。
ストーリー
ス
ペインの女王マリアは、マドリードの華やかな宮殿に、多くの延臣官女に傅(かしず)かれながらも、孤独の日々を送っていました。心を許せる友を唯だ一人も
持たない王妃の悲哀です。腹黒い野心を抱く高官ドン・サルストが、マリアに愛慕の情を訴えた時、賢い女王
は彼の心底には清い愛よりも、まっ黒な野望が潜んでいることを見抜き、すげなく彼の求愛を退けます。ドン・サルストは単なる失恋の嘆きでなく、失望の憤りで、己が主君たる女王に折あらば復讐してやろうと¿逆恨み?の心理状態であります。或日ドン・サルスト が郊外に馬を駆つていると、貧しい学生風の一人の若者と遭遇しました。見れば失踪中の彼の甥にあたる無頼漢ドン・セサル・デ・バサンに、瓜二つです。驚いたドン・サルストは¿学生?を呼びとめ、身の上を尋ねます。ルイ・ブラスという貧乏な平民で、マドリードに職を求めて上るところでした。な
ぜマドリードへ行くかと問えば、美しい女王マリアのお膝元の都に住んでみたい、という答えでした。女王の名を口にする時のルイ・ブラスの顔は、及ばぬ恋と知りつつも、秘かな思慕の情を女王に抱いていることは明白に示していました。ドン・サルストはルイ・ブラスを秘かに己が邸に伴って帰ります。そしてリュルイ・ブラスに貴族の服装をさせ、従弟のドン・セサル・デ・バサンでござると、女王に紹介します。女王は偽のドン・セサルとは知らず、男らしい、頼もしげな若者の面魂に、心を魅かれます。ルイ・ブラスは身分を偽ることの心苦しさに打勝たんとしながらも、女王に対する忠誠と思慕に揺れます。孤独なマリアは、始めて真剣に愛を捧げる男性を見出し、彼に対する信任を次第に増していきます。17世紀のスペイン宮廷が、貴族の陰謀で毒されているのを見た、ルイ・ブラスのドン・セサルは、腐敗した政道の刷新に努力し、女王の信頼はいよいよ高まります。そして女王はついに彼と結婚しようと決意します。女王を騙して笑いもの
にするのが目的だったドン・サルストは、ルイ・ブラスの正体を女王に告げ、即刻退位しなければ、この醜聞を公表すると脅迫します。女王マリアは怪怖に慄いきます。身分の低い平民に全てを許したことを悔いているマリアの貴族的矜持を眼にしたルイ・ブラスは、女王を騙した罪を痛感するととも
に、真の愛とのみ思ったマリアの愛情は、階級意識の前には脆くも毀け去るものであったと知り幻滅を味わいます。ルイ・ブラスは立ちどころ
に奸悪なドン・サルストを刺し殺し、自らは毒を仰いで自らの命を絶つのでありました。