2014年8月27日水曜日

不名誉な国際語 (佐賀新聞より) karoshi (karoushi): muerte por exceso de trabajo

不名誉な国際語

2014年08月07日 07時50分

 「家族そろってご飯が食べられますように」-過労死で父親を亡くした岡山県の小学生が、七夕の短冊に書いた願い事である。 企業戦士の犠牲の上、ようやく先の国会で対策法が成立した◆長時間労働などによる過労やストレスが原因となり、くも膜下出血や心筋梗塞といった脳・心臓疾 患などを発症し死亡する。うつ病になり自殺するケースもある。海外でも「KAROSHI」で通用する。日本の労働環境を物語る不名誉な国際語となっている ◆厚生労働省が労災認定したのは2012年度123人、未遂を含む自殺は93人。労災申請に至らないケースも多いとみられ、数字は「氷山の一角」だろう。 近年は過酷な労働を強いるブラック企業が問題化し、若い世代の過労自殺が目立つという指摘もある◆法律は政府に具体的な対策となる大綱の作成を義務付け、 自治体や事業主には対策への協力を努力義務として課している。ブラックな実態の解明や相談窓口の整備などを通じて、過労死の恐れのある人を未然に救う有効 な取り組みがいる◆早ければ今年から勤労感謝の日がある11月が「過労死防止啓発月間」となる。冒頭の子は「1年に1回くらいパパと会わせてくれてもいい のに」とつぶやき、次の年から七夕の願い事をしなくなったという。子どもに夢を返してあげたい。(宇)