1968年の初夏、川村信は、明るい太陽の下、花の咲き乱れるリスボンの広場を歩いていました。学生の頃、長崎の博物館で見た寺院の写生図が、彼をヨーロッパ の寺院に誘ったのです。彼はこの地で、工芸品のバイヤー鳥羽直子とめぐり会いました。直子は、ビジネスの傍らに、寺院の案内をかって出ます。
スペインの街角 で、二人は、厳しく口論しながら通抜けていった男女に会います。それは、姦通した妻を刺した男と義妹の争いでした。その争いを 見ながら、「妻の不貞を許せない、真実は神が知っている」との男の叫びを、川村に伝える直子の表情は硬ばっていました。直子は米国籍の夫とパリで暮していたのです。...
あの頃の映画、という表現がぴったりの邦画です。