2012年9月30日日曜日

五木寛之 Itsuki Hiroyuki

今日(9月30日)は五木寛之(1932年生まれ)の八十回目の誕生日です。
五木と言えば、スペインものを幾つも書いています。


スペイン内戦が世界の大戦争などの代役、陰の戦争であり、実は世界全体を考える場合より重要なものなのだという、五木の視点から「五木寛之のスペイン」を扱おうと思っていたのですが、今日は日曜日なので、少し脱線します。
Ernesto Mr. T のブログですから闘牛の話です。
五木は以前何度もスペインに通っていましたがスペインの闘牛をあまり描いていません。
しかし氏の小説『親鸞』に闘牛が出て来るのであります。
もちろん、スペイン式の闘牛士と雄牛が戦う闘牛ではなく、牛対牛の闘牛、競べ牛です。

五木寛之の小説『親鸞』は、幼き頃に闘牛(競べ牛)を目の当たりにするところから始まっています。「人を殺す牛」という名の章です。
時代は平安末期、場所は京都です。「黒頭巾」と「牛頭王丸(ごずおうまる)」という二頭の巨牛が「馬糞の辻」で決闘するというので、幼い頃の親鸞、日野忠範が大勢の見物人に紛れて出掛けていきます。
「傑物」と評される「黒頭巾」の筋骨隆々とした姿や周りを見下ろす傲慢な様子、そして「希代の悪牛」と評される「牛頭王丸」の遠くを見詰めるような哀しげで狂気を秘めた「眼」。
いよいよ「黒頭巾」と「牛頭王丸」が頭を突き合わせ、火の出るような押し合いがはじまり、二頭の牛が火花を散らしてまさに両者が組み合おうとした瞬間、石つぶてが 忠範のすぐ側を通り「牛頭王丸」に当たります。忠範が投げたものと思った牛頭王丸は、怒り来るって忠範に向かって突進して行きます。
「あぶない!」
そう思った瞬間、隣に居た黒衣の男が忠範をすくい上げて、馬糞の辻から走り去り、大路から逸れて、なおも男は走り続け、鴨川の河原の土手まで来て、ようやく忠範を下ろします。
このように後の仲間によって助けられるのですが、この小説はその後、人を多く殺めた宿業を背負う六波羅童の頭取、伏見平四朗との因縁の対決に展開していきます。
しかしながら、「人を殺す牛」とは、力づくで人を往生させる型破りな坊主・親鸞自身のことでありましょう。
Ernesto Mr. T はそう考えます。

今日は日曜日なので、最後に、五木寛之の videos を付け加えます。日曜日らしく、題名も「忘れてませんか 楽しむ心」です。


ご意見、ご質問等ございましたら、 <ernestotaju@yahoo.co.jp>  へ。


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