2013年10月29日火曜日

泣き女


 カルメンは大がらで、肉がたるみ、目が小さかった。年をとったら楽をするんだと、せっせと小金をためこんでいた。たばこ屋だったが、アングスティアスとマルシアルのおかみさんと三人で、葬式の泣き女もしていた。
 なきがらにとりすがって泣くことにかけて、この三人組の右に出る者はいなかった。その名は付近一帯にとどろき、よその村からおよびがかかることもあった。
 三人は金持ちからはしっかりとお金をちょうだいしたが、貧乏人からはこれつばかぱしもとろうとせず、ワインを一杯か食べ物をちょっぴりもらって腹を満たすだけだった。
 実入りのいい通夜や友だちの葬式となると、その泣きつぶりはこわいほどだった。
 週に一、二度は、河原のむこうのポプラ並木のところで泣く練習をした。
 カルメンが、長くのばした声をはりあげると、アングスティアスが高音のパートを、やせぎすのマルシアルのおかみさんが低音のパートをかさねた。





































 こんな素敵な話題・文章・挿し絵が含まれているのは 最近福音館から出版された『日ざかり村に戦争がくる』です。
 フアン・ファリアス作、宇野和美 訳、堀越千秋 画、です。
 Ernesto Mr. T の推薦図書であります。

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