エリアス・カネッティの小説『眩暈』(Die Blendung)についてです。
書物に人生を捧げる中年学者が、無知な女性との結婚を機に研究生活を侵されていく様を描いたものです。作者が26歳の時に書かれた処女小説であり、執筆から数年を経た1935年にオーストリアの書店から刊行、1948年に再刊されましたが黙殺され、研究書『群集と権力』(1960年)が成功した後の1963年にハンザー版が出てから評価を受けました。以来20世紀ドイツ語文学の代表作の一つとされています。
主人公は著名な中国学者で書物収集家のペーター・キーンです。2万5000冊もの書物 (Ernesto Mr. T の蔵書の3倍です) とともに孤高の研究生活を送っており、身近にいるのは8年前に雇った家政婦のテレーゼのみでした。キーンはテレーゼを書物の管理のために雇ったに過ぎませんでしたが、ある日ふとしたことから蔵書にあった小説をテレーゼに貸し与えることになり、その際テレーゼが自分以上に丁重に書物を扱ったことに感銘を受け、すぐさまテレーゼを娶る決意をします。しかし妻の地位を得るやテレーゼの態度は変わってゆき、妻の権利として書庫に宛てられていた部屋の半分を要求したり、家具をキーンの金で買い入れたりとキーンの生活に干渉するうちどんどん厚顔無恥になっていきます。そして愛想のいい家具商への妄念に取り付かれたテレーゼはキーンをないがしろにし、遺言書の作成を要求したあげく家から放逐してしまいます。
家から追い出されたものの通帳だけは守り通したキーンは、ホテルに滞在しながら書店を巡り、自分の頭の中に臨時の蔵書を仮構することに熱中します。そうしてふと入った酒場で佝僂のフィッシェルレと出会い、酒場の騒動から助けられたことに恩を感じてフィッシェルレを助手に任命します。フィッシェルレに国営の質物取扱所テレジアヌムに案内されたキーンは、ここで質草として持ち寄られてくる書物を救い出だすことに自身の使命を見出し、書物を持ち込もうとする人から所持金をはたいて書物を買い上げ始めます。これを儲けのチャンスと見たフィッシェルレは仲間を集めて偽者の客にしたて、キーンから次々と金を騙し取っていきます。しかしその詐欺計画の3日目、キーンはテレジアヌムに書物を質入に来たテレーゼと玄関番を目にします。彼らは揉み合いを始めて守衛に引っ立てられ、結局キーンは混乱のなか身分も明かせぬまま、自宅の玄関番の住居に身を寄せることになります。
玄関番ベネディクトに引き取られたキーンは、そこでのぞき穴からの人間観察に熱中、新たな研究対象を見出したと考え玄関番の仕事に固執し始めます。そのような折、フィッシェルレからの偽の電報を受けて、キーンの弟で婦人科医のジョルジュが兄が発狂したと思い込んでやってきます。兄を心配したジョルジュは、兄の害になっていることを悟りテレーゼと玄関番を巧みな弁舌で追い出し、兄にかつての静かな研究生活を取り戻させます。しかしそのときすでにキーンには狂気の兆候が現れていました。自宅の静謐を取り戻したキーンは殺人と火事の妄想に取り付かれ、最後には自ら書庫に火を放ち蔵書もろとも炎に包まれてしまうのです。
スペイン語版は Auto de fé です。つまり、『焚書』ということです。
Auto de fé es la única novela de Elias Canetti, premio Nobel de literatura. Publicada en Viena en 1935, bajo el título Die Blendung, “El Deslumbramiento”. El título de la traducción al inglés Auto-da-fe (de C.V. Wedgwood, 1946) hace referencia a la quema de herejes en la Inquisición. El libro fue prohibido por los nazis y obtuvo el reconocimiento que tiene actualmente tras el éxito de Masa y poder (1960).
El protagonista es Peter Kien, un sinólogo, cuya vida está consagrada al estudio y que no conoce otra pasión que los libros. Teme cualquier contacto social y físico. Su departamento es una inmensa biblioteca de 25 mil volúmenes. Kien no puede abandonar su departamento sin llevar consigo algunos títulos y no se ausenta más que durante una hora cada mañana. Es considerado un especialista a nivel mundial, aunque se rehúsa a participar en el más mínimo coloquio.
Vive satisfecho hasta que contrae matrimonio con su sirvienta, Teresa, una mujer ignorante que se revela como un personaje abyecto, dispuesta a todo para conseguir dinero, inclusive a vender los libros de su esposo, cuando ésta consigue echarlo de su propia casa. Ella tendrá la ayuda de Benedikt Pfaff, el conserje proto-fascista de su condominio.
Kien desciende a las profundidades de la sociedad, mientras su hermano trata en vano de curarle, encontrando un final apocalíptico en el laberinto de su biblioteca.
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