会田 由(あいだ ゆう、1903年4月3日 - 1971年2月27日)
このスペイン文学者は、110年前の今日、1903年4月3日、熊本県で生まれました。1927年に東京外国語学校スペイン語科を卒業しています。永田寛定氏などに学びました。1949年、東京外国語大学の講師となり、のち教授を務めました。その間、東京大学教養学部でも非常勤講師として、スペイン語授業を担当、スペイン文化研究の先鞭を付けました。1965年より神奈川大学教授を務めました。
没後の1975年より、名を記念し会田由賞(日本スペイン協会主催)が発足しました。何故か長年の中断もありましたが、ラテン・アメリカ文学も含む、多くのスペイン語圏文学・歴史研究者に授与されています。
数多くのスペイン語文学作品を翻訳しましたが、特に『ドン・キホーテ』を1962年に曲がりなりにも完結させ、西語原典からの最初の完訳出版者ということになっています。先に会田由氏の恩師である永田寛定訳(岩波文庫版)の刊行が始まっておりましたが、永田教授が手間取っているうちに会田氏が先に完成させ、以後数社の「外国文学全集」に収録され何度も重刷されました。会田氏の後輩の故・大島正氏 が『スペイン文学への誘い』で指摘しているように、"galgo corredor"を「足早の猟犬」と訳すなど奇妙な日本語訳もときには見られたりしますが、何とか最後まで読むに堪える訳文に仕上がってると、Ernesto Mr. T は思います。
因みに、"galgo corredor"は、永田氏訳では「はしっこい猟犬」、『東京闘牛の会 TENDIDO TAURO TOKYO』現会長でもある荻内勝之氏訳では「何とか走れる猟犬」となっています。(他に 西語原典からの El Quijote完訳は 故・牛島信明氏[2002年に62歳で歿]、岩根圀和氏[最新訳]のものがあります。)
この偉大な会田由氏の交流範囲はどんなものだったのでしょう。以下は、大宰治氏が会田由氏に出した葉書です。
最後に、『ドン・キホーテ』以外の、会田由氏の 主な翻訳作品を上げておきます。
• 三角帽子 ペドロ・アントニオ・デ・アラルコン
• ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯
• プロメテーオ ラモン・ペレス・デ・アヤーラ
• 娘たちの「はい」 モラティン
• セルバンテス模範小説集
• 血と砂 ブラスコ・イバーニェス
• 日本王国記 アビラ・ヒロン 佐久間正共訳
• 蜂の巣 カミロ・ホセ・セーラ 野々山ミナコ( = 野々山真輝帆 )共訳
• ユリシーズ号の密航者 A.マトゥーテ
• ロルカ ジプシー歌集
• 司書の使命 オルテガ・イ・ガセー
cf. Don Quijote 第1章 世界の大小説 La Gran Novela del Mundo
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