2012年8月8日水曜日

最後の授業 ¿La Dernière Classe?


1940年の今日 (Ernesto Mr. T が只今滞在しているスペインではまだ) 8月7日、ドイツがフランス領のアルザス=ロレーヌを編入しました。

『最後の授業』(さいごのじゅぎょう、仏: La Dernière Classe)は、フランス第三共和政時代の初期、1873年に出版されたアルフォンス・ドーデ(ドデ、ドデー)(Alphonse Daudet, 1840年5月13日 – 1897年12月17日)の短編小説集『月曜物語』(仏: Les Contes du Lundi)の1編です。副題は『アルザスの少年の話』(Récit d'un petit alsacien)。『月曜物語』は1871年から1873年までフランスの新聞で連載されました。

アルザス地方に住む少年、フランツは、学校に遅刻してしまい、アメル先生の鞭打ち罰を受けるのでは、と心配していましたが、先生は何時になく優しく着席を促しました。教室には元村長をはじめ多くの大人たちが集まっていました。アメル先生は生徒と教室に集まった大人たちに向かって、自分が授業をするのはこれが最後だと言いいます。普仏戦争でフランスが負けたため、アルザスはプロイセン王国(ドイツ帝国)領エルザスになって、ドイツ語しか教えてはいけないことになり、アメル先生もこの学校を辞めなければならない(国語教師としての在職は許されない)。これがフランス語の最後の授業だと語り、生徒も大人も授業に熱心に耳を傾けます。アメル先生は「ある民族が奴隸となっても、その母語を保っている限りはその牢獄の鍵を握っているようなもの」とフランス語の優秀さを生徒に語ります。やがて終業の時が来て、プロイセン兵の鳴らすラッパの音を聞いた先生は顔面蒼白になります。挨拶をしようにも言葉が出ず、黒板に「Vive la France!(ヴィーヴ・ラ・フランス!=フランス万歳!)」と書いて「終了。みんな帰ってよろしい」と手で合図し、「最後の授業」を終えるのでした。

アルザスは以前からドイツ語圏の地域であり、そこに住む人々のほとんどがドイツ語方言のアルザス語を母語としていました。普仏戦争にも従軍したプロヴァンス(同地にはロマンス語系のプロヴァンス語がある)出身のフランス人である作者ドーデは、作中のアメル先生に「ドイツ人たちにこう言われるかもしれない。“君たちはフランス人だと言いはっていた。なのに君たちのことばを話すことも書くことも出来ないではないか”」(その後に、フランツや生徒だけの責任ではない、国語をきちんと指導しなかった我々大人の責任でもある、と反省の弁)と言わせています。

すなわち、アルザスの生徒達は(ドイツ語の一方言であるアルザス語が母語であるため、)国語であるフランス語を話すことも書くこともできず、わざわざそれを学校で習わなければならない状態であったのです。アメル先生は、アルザス語を母語とするアルザス人に対し、フランス語を「自分たちのことば」ないし「国語」として押しつける立場にあったものであり、本小説においてはこの点が隠蔽されているのです。

日本ではこの小説は1927年(昭和2年)に教科書の教材として採用されました。戦後の一時期、『最後の授業』は教科書から消えましたが、1952年(昭和27年)に再登場しました。しかし、田中克彦の『ことばと国家』や蓮實重彦の『反=日本語論』などによる、「国語」イデオロギーによって言語的多様性を否定する側面を持つ政治的作品であるとの批判もありました。1985年(昭和60年)からは教科書に採用されていません。

アルザス=ロレーヌ(フランス語: Alsace-Lorraine、ドイツ語: Elsaß-Lothringen エルザス=ロートリンゲン、アレマン語: Elsäß-Lothringe エルゼス=ロートリンゲ)は、フランス共和国北東部のドイツ国境に近いアルザス地域圏(エルザス)とロレーヌ地域圏(ロートリンゲン)のうちモゼル県を合わせた地域です。
鉄鉱石と石炭を産出するため、しばしばフランスとドイツとの間で係争地となりました。第二次世界大戦以降はフランス領となりましたが、中心都市であるストラスブールには、それ以後、欧州の主要な国際機関が多く設置され、国を超え、欧州統合の象徴的な地域となっています。
アルザス・ロレーヌは元々ドイツ語文化圏に属し、特にアルザスで話されるアルザス語は南部ドイツ語の方言であるアレマン語の一つなのです。元来はドイツの前身である神聖ローマ帝国の支配下にあり、住民の大多数はドイツ系のアルザス人(アレマン系)なのですが、『ツァーベルン事件』でドイツ人がアルザス人を侮辱する事件が起こったことをきっかけに、現在のアルザスの住民は「ドイツ人」という概念よりも、民族独自の「アルザス人」という意識が強くなっているようです。

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