Herman Melville の Moby Dick は 1851年の今日、10月18日に発行されたのです。
Moby Dick は、白鯨のために片脚を失ったエイハブ Ahabがその鯨を倒すことを生涯の悲願として、還らぬ航海を続けていく物語です。それを求めるためなら「地獄の底までも」白鯨を追いつめていくことを心に誓っています。そしてAhabを「 嘲笑う幻」－ 白鯨のために、その身を海底に引き込まれてしまうのです。以前の Melville の作品とは異なり､渾然とした統一威をもつすぐれたシンボリズムの作品となっています。
Melvilleはこの作品の中で、胸中に疼いている真実追求の激しい情熱をドラマ化したのでしょう。一方には常凡を掛け離れた巨人像、倣頑不屈な魂をもつ Ahab をたて、他方には超自然と思われる牧智と破壊力をそなえている巨大な白鯨を配して、この両者の宿命的とさえ言って良い激突を描くことに、見事な当代の神話を作り上げることに成功したと Ernesto Mr. T は考えています。Ahab が作者自身の心の中のものを多分に持つ者でありながら、作者が終始その人物との間に距離を置いて、完全な detachment を保ち続けていたことが、この作品を以前の作品よりも成功させている原因だと思います。作者はこの作品の中で二つの分身を作り、一つの分身 Ahab の進む純一ではあっても自己破滅的な行為を、もう一つの分身 Ishmael に語らせています。そして Ahab の狂気に染まらぬ Ishmaelfは、全てのものが消え去った洋上にただ１人浮かび上ってこの悲劇の顛末を語り続けるのです。
これはメルゲィルの想像と体験とその形而上学とが見事に築き上げることのできた偉大な文学作品です。 しかし当時の読書界は、そのほとんどがこの作品を黙殺し、そしてそのいくらかが遠慮がちな非難を浴せるという状態だったそうです。
今日は、この Moby Dick を 分かり易く描いた 子供用アニメーション映画を掲載しておきます。
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