『ドン・キホーテ』を読んでもいない人が文学を語ることは不可能です。
ドン・キホーテを読む前と読んだ後とでは世界を見る目が全く異なります。
世界の大小説 La Gran Novela del Mundo
Don Quijote 第1章
前編の正式な原題は、El ingenioso hidalgo Don Quijote de La Mancha(英知あふれる郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ)です。
セルバンテス(Miguel de Cervantes Saavedra)は前篇の序文の中で、牢獄の中でこの小説の最初の構想を得たことをほのめかしています。彼は生涯において何度も投獄されていますが、おそらくここで語られているのは税金横領の容疑で入獄した1597年の Sevilla 監獄のことでしょう。
セルバンテスは釈放後、Valladolid で多くの家族を養いながら前篇を書き上げ、1605年の今日、1月16日に Madrid のファン・デ・ラ・クエスタ (Juan de la Cuesta) 出版所から出版されました。前篇はたちまち大評判となり、その1605年だけで海賊版を含め6版を数え、1612年には早くも英訳が、1614年には仏訳が登場しています。(因みに、日本語訳が初めて、それも英語からの重訳で部分訳が登場したのは、1887年、明治20年のことです。)
しかし、作品の高い評価にもかかわらず、版権を売り渡してしまっていたためセルバンテスの生活は依然困窮していました。(この後の話はまた別の機会にします。)