米軍機が水爆を落としてしまったのです。
東西冷戦期の1966年1月17日に、スペイン南部のパロマレスで米軍機が搭載していた核兵器の水素爆弾4個が落下し放射性物質プルトニウムが漏れ出した「パロマレス事故」Incidente de Palomares で、当時撤去の対象とされず現場に放置されていた土壌5万立方メートルから、プルトニウムが変化し、同程度に有毒性の高いアメリシウム241が検出されたことがスペイン科学省の調査で判明しました。土壌撤去には特殊な技術が必要なためスペインが米国に協力を要請していますが、米側は応じていません。米西間の外交問題に発展しています。
1966年1月17日の事故というのは、米軍爆撃機B52と米空中給油機が空中で衝突し、水素爆弾4個のうち3個が陸地に落下、2個からプルトニウムが流出したものです。1個は海中から引き揚げられました。両機の乗員7人が死亡しました。スペインの住民に死傷者はいませんでしたが...。
事故後、現場周辺では1平方メートル当たり最高120キロベクレルのプルトニウムが検出されました。墜落現場はその10倍に達していました。現場周辺の放射線量は1986年の旧ソ連のチェルノブイリ事故で移住対象とされた数値に匹敵します。米軍は当時、汚染土砂1300立方メートルを撤去し、本土に持ち帰りました。
しかし、最近になってスペイン科学省が現場周辺で詳しい調査を実施したところ、「土地使用制限基準値の1グラム当たり1ベクレルを超す高レベルのアメリシウムを含む土壌が5万立方メートル残る」(同省エネルギー環境技術センター)ことが分かったのです。
アメリシウム241は半減期が432年と長く、人体に有害な放射線アルファ線を放出します。現場周辺は立ち入り禁止となり、一部住民からは被爆反応が出たとの報道もありますが、センターは「事故との因果関係を証明できる事例はない」としています。
マドリード・コンプルテンセ大学の Rafael Moreno Izquierdo 教授(50)が情報公開請求で入手した米国防総省報告書(1975年)によると、米スペイン両政府は当時、欧州への核兵器配備を重視し、一部地域の「除染を断念する」ことで合意していたのです。
次は 2年3カ月前の video です。
英語の video も付け加えておきましょう。
ご意見、ご質問等ございましたら、 <ernestotaju@yahoo.co.jp> へ。