泉井 久之助(Izui Hisanosuke、1905年7月2日 - 1983年5月28日)
泉井 久之助は専門の印欧語のみならず、世界の古今東西の言語にもまた通じていました。特に戦前3回にわたって実地調査を行ったマライ=ポリネシア諸語においては、それまで世界の学者が漠然と考えていた系統問題を、確立された方法論を以て解明しました。
言語を表面的に取り扱うのみでは充分ではなく、その基盤には常に「哲学」がなくてはならないとの考えを持っていた事で、『フンボルト』(その改訂版『言語研究とフンボルト』)の著作があります。
最近『新・スペイン語 落ち穂ひろい』を出された スペイン語学・文学の大家 清水憲男氏は その新刊の「はじめに」で「西洋古典学・言語学の泉井久之助先生はラテン語に関する名著で、次のように指摘しておいでです。ご著書では『言語の細部の理解、または感じ分けに資するようにつとめた。一つの言語の理解には、この種の細部の理解、または感得が重要である。その言語がその人にとって生きて来るか否かは、ーにこの種の細部に対する感得と理解にかかっている。細部のなかにこそ、一つの言語に特殊なその息吹が聞かれるともいえるのである』。外国語学習に関して、安直な雰囲気が主流の今日、これは真剣勝負の言葉として味読されねばなりません。」と泉井 久之助の言葉を引用しておられます。
拙 Ernesto Mr. T も 泉井 久之助の著書からは大いに感化を受けました。特に『印欧語における数の現象』と『ヨーロッパの言語』を読んだときの驚きは今でも忘れられません。日本語と英語(の一部分)しか知らなかった Ernesto Mr. T は 大いに目を開かれたのです。言語の持つ魅力というものを初めて味わせてくれた恩人でもあります。
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